simple life blog

日々思うこと。興味のあること。日本のこと。カナダケベックでの生活のこと。

患者の家族として母の患った上顎歯肉癌ステージ4とクオリティオブライフ

こんにちは。

今日は少し真面目に「上顎歯肉癌とクオリティオブライフ」について思ったこと、感じたことを記事にしています。

私の母親のことを少しと当時の私

私の母は7年程前に、上顎歯肉癌(じょうがくしにくがん)という癌になり、手術をしました。癌の中でもどちらかと言えば、マイナーな癌にあたると思います。

名前の通り、口の中に出来る癌で上あごの半分を取るという大手術をしました。またまた名前の通り、歯肉(歯茎かな)が腫れてきて、病院に行って分かりました。ステージ4でした。

私はすでにカナダに嫁いでいてやりとりは電話やスカイプが主でした。ある時から、家にいることの多い母が、よく出掛けるようになり、電話に出た父が「今日は出かけている」「今日は大昔の友達〇〇さんに会いに入った」などと私に説明していました。

最初の数回はそんな状態で、特に不思議とも思わなかったけれど、いくらなんでもおかしいと思い始めて、父に問い詰めると病気になり手術が終わったという事を聞きました。その間約1ヶ月です。

2009年の8月にカナダで結婚式をしたのですが、以前は母親はカナダに来たいと言っていました。ですが割と直前に「やっぱり猫ちゃんもいるし、家は留守には出来ないね」と言って、父と姉がカナダに来ました。その時点で、すでに母親はおそらく癌であろうことを医者から聞いていたそうです。ただ詳しい検査結果はまた出ていませんでした。

そして父と姉はこの時何も知らされずに、カナダにやって来ました。母親は病気のことを私のことを考え、結婚式直前に言いたくなかったのでしょう。

私の結婚式が終わり、2人が日本に帰国した翌日に、予約してあった病院に家族で行って、結果を聞いたそうです。

父と姉がカナダに来ていた時、1人で自宅に1週間、誰とも話せず泣いていたと聞いた時のことを思い出すと、本当に今でも涙が出てきます。

癌の場所はQOL(クオリティオブライフ)に大きく関わってくる

母の癌は口の中なので、顔にメスを入れることになります。上顎を約半分(口の中の天井の部分)取り、首のリンパもとるという大掛かりなものでした。

幸いなことに首のリンパに転移はみられず、化学療法などは一切しないで切除のみでした。ただし切除した部分が大きい為、今までと全く同じようには生活出来ません。

・手術後は顔の形も多少変わる

・ストローを使ったりコップがうまく使えない(飲み物が鼻の方にいってしまうようです)ペットボトルもかなり難しいです。

・発声も以前のようにはいかず、話すだけで疲れてしまうとよく言っています。

・食べ物もうまく食べられない(歯はほぼなくなってしまいました)

これだけでも、病気前と同じ生活が出来ないのが分かると思います。食べる・飲むという行為は、生きていく上で絶対に必要なことです。それが楽しめなくなると言うのは、QOLの低下を意味しています。でもこれら全てのことが、全く出来なくなる訳ではありません。

・手術後の状態が気になるのは当然のことで、マスクの着用でかなり気持ちは楽になっています。日本のマスク文化が、こういったことでカモフラージュになっています。マスクをしていても、何も違和感がありません。

・家では、病院で使う急須のような形の入れ物で飲んでいます。外出時は必ず、ウイダーインゼリーや、ウイダーインゼリーと同じ形のポカリスエットを凍らせたものを持っています。あの形ならば、飲みやすいそうです。

・食べ物は、擦ったり、細かく切って食べています。父親が家事上手なので助かっています。

ポジティブ精神は必要だと実感

母は、ポジティブか?ネガティブか?で言ったら、ネガティブ思考だと思います。私も割と小さいことでクヨクヨする性格なので、ポジティブとは言えずDNA受け継いでんな~と日頃から思います。

癌の手術が無事成功し、上あごを含めた特別な入れ歯を何ヶ月、何十万もかけて作りました。でも母はそれを装着するのがとても痛いようで、口が開かないのだとか。普通の入れ歯とは訳が違うのだそうです。

でも開かないのは、リハビリをしていないからで、それを毎日装着し継続していけば、完璧にはならないけれど、多少は以前に近くなるそうです。もっとポジティブになれたらと周りにいる人は思ってしまいます。

でもこの辛さは当事者しか理解出来ないものだと思うし、リハビリなどは本人のやる気も必要になってきますよね。ただ、自分の顔が変わってしまったり、今まで簡単に出来ていたことが出来なくなるのは、本当に辛いと思います。

母は母。でも本人は・・・

癌になっても、顔が少し変わっても、母は母です。私はもうマスクなんてしないで、気にせず生活して欲しいと今も思っています。無理なのは分かっていても。

でも母は何年か前、こう言いました。

・自分の顔はもう何年も鏡で直視していない(出来ない)

・マスクをしないと家の中も外も出歩けない

・カナダには行けないと思う。パスポート写真を撮る勇気がない。

・車の免許更新も顔写真が必要だから、更新出来なかった(もう免許はないです)

父親が退職したら、のんびり年金生活だぁなんて言っていたのが、旅行自体も難しくなっています。

母は歯を大事にし過ぎていた

ここからは病気以前のことなのですが、私が子供だった頃、母は私と姉に「歯は大事だから、歯磨きをしっかりした方がいい」と言って、歯磨きを徹底していました。何か問題があれば、すぐに歯医者に連れていってくれました。ありがたいことです。

そしてよく母が言っていたのは、「私はおじいちゃんとおばあちゃん(母の両親です)があまり歯の面倒は見てくれなかったから、虫歯も多くて苦労してるよ~。」と良く言っていたのを覚えています。

そして入れ歯にすることに、強い抵抗があり、自分の歯を大切にしていて歯医者も定期的に通っていました。医者から「入れ歯にした方がいい」という提案を受けても「しないでいいです」と言うくらい、自分の歯にこだわっていました。

治療した部分が化膿して何度も治療を受けたり、銀歯が合わないのを直したりを繰り返していたと思います。銀歯が合わなかったりして、歯肉に炎症が起こり癌化することがあるそうで、母はかなりの確率でこれが原因かもしれないと言われました。今更、原因解明出来ないけれど、タバコも吸わないし、暴飲暴食もない。長い期間をかけて癌化していったものですと医者から言われました。

今の母はガンサバイバーです(笑)

母はステージ4と言われた癌患者でしたが、手術を行い、決してポジティブではないけれど、ガンサバイバーです。

QOLは下がったというほかありませんが、それでも周りに支えてくれる家族がいて、カナダの孫2人の為に色々としてくれます。孫が生きがいになっていると以前言ってくれました。

息子達は、マミーはマスクをしているのが当たり前で、不思議と疑問にも思っていないみたいです。病気でという説明はしたことがありますが、気にもならないようです。マミーの絵を描くと、必ずマスクしています。子供は正直ですね。

終わりに

当時、上顎歯肉癌のことをネットで調べまくっていましたが、あまり情報が得られませんでした。

マイナーな癌ですし、症状なども人それぞれ違うと思います。でもひとつ確実に言えることは、ステージ4の癌でしたけど、母は今、元気になりしっかりと生きています。

クオリティオブライフの低下は、精神的にも、肉体的にもつらいことが多いですが、周りにいる人の支えで、母は今日も元気に生きています。

食事に関しては、母にとって、あまり楽しい時間ではなくなってしまいましたが、ショッピングをしたり、美容室に通ったりするのは大好きですし、それなりに日々を過ごしています。

母が「やっぱり女なんだなぁ、かわいい洋服が欲しい~」と言っていたのを聞いて少し安心しました。

QOLが下がってしまったとしても、生きていてくれてありがとうと心から思っています。そしてこれからも長生きして欲しいです。

何か質問があれば、問い合わせフォームからお願いします。本日設置いたしました。

ではおしまいです。